難病で仕事を辞める

難病と診断された、または治療を続けている人から「退職をしようか」、「仕事を辞めようか」と悩んでいる相談が多いので、今回は、その相談を元にまとめた記事を書くことにしました。

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編集部

難病で仕事を辞めて退職する相談例

悩んでいるのは、あなただけではありません

難病の人が仕事を辞めて退職しようかと悩む一番の理由は、治療と仕事の両立が出来ないからです。

良くある相談例を挙げてみます。

  • 難病への誤った理解
  • 通院や検査への理解がない
  • 健康管理が難しい
  • 職場の人間関係

すべて、難病への配慮と理解がないので起きていることです。

あなたのケースとは違うかもしれませんが、どのような背景があるのかだけ説明しておきます。

難病への誤った理解

難病への正しい知識が無いので、誤った情報や先入観から、退職や休職に追い込まれるケースがあります。

また、それ以前に採用の段階で難病を配慮点として上げることによる平等ではない採用結果に繋がっています。

通院や検査への理解がない

難病の人の中には、適切な治療を続けることで、支障無く生活を送れる人は多くいます。
ですが、これは、通院や検査などが適切に行われて入ることが前提です。

でも、難病を理解していない人からは、どこが「悪いのか解らない。」「なぜ病院に行かなくてはならないのか?」「あいつだけ病院という口実で休んでずるい」等、心ない事を言う人がいて、ストレスからメンタル面にダメージを受けます。

健康管理が難しい

見た目に解らない難病でも、疲れやすく休憩を多めに取る必要があったり、時短で働かざるを得ない時ともいますが、理解がない職場では見た目だけで判断して休憩や時短勤務への配慮がありません。

結果、しか宅無理をして体調を壊します。

職場の人間関係

難病の人は、通院や時短勤務の理解がないと、ズルいとか、怠けている等、ありもしない誹謗中傷にあうことが多く、職場の人間関係が上手く行かなくなることも有ります。

コミュニケーションが取れない中での仕事は、とてもやりにくくなります。

結果、仕事を辞めて退職をすることになります。

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このように、難病への理解と配慮が無いことで相談がたくさん来ます。


難病の人が、仕事を辞めて退職をするか悩んでいる背景には、このような事が起きているからです。

仕事を辞めて退職か悩んだ時のアドバイス

それでは、このような悩みへの相談について、当メディアではどのようにアドバイスをしているか解説します。

問題がこじれている場合もあるので、その解決策は個々によって変わりますが、最終的な結論を言うと、「悩むなら仕事を辞めて、退職するべき」です。

現時点で、難病への理解や配慮が無い企業では、今後解決するまでに時間が長くかかります。

仮に、企業で難病への理解を進める為に、何らかの方法をとったとしても社員ひとり一人に浸透するまでは、ずいぶん長くかかります。

そんな時間を、待っていられるにならかまいませんが、私であれば難病への理解や配慮が整っている企業へ移った方が幸せになれると判断するので、現職で悩んでいるときは、仕事を辞めて退職することを提案します。

治療と仕事の両立を可能とする取組を知っていますか?

当メディアでは、仕事を辞めて退職することを提案しました。

新たに、仕事を探す事になりますが、その前に知っておくべき事があります。
それが、『難病の人の治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン』です。

 厚生労働省は、平成 28 年2月、このような働く意欲をもちながら治療と仕事を両立しようとす
る労働者に対して、職場において就業上の措置や治療への配慮を適切に行い、治療と仕事が両立で
きるようにするための具体的な支援方法等をまとめた「事業場における治療と職業生活の両立支援
のためのガイドライン」を作成しました。

厚生労働省では、難病の人が治療と仕事の両立が出来なくて仕事を辞めて退職を選ぶのではなく、続けられるように企業への指導を進めています。

つまり、難病の理解と合理的配慮について取り組んでいる企業は既にあると言うことです。
これは、今後新しい職場を探す時の目安として知っておくと良いです。

仕事をする条件をハッキリさせる

厚生労働省で進めている難病の人の治療と仕事の両立で、仕事を辞めなくて良い取り組みがある事が解ってもらえたと思います。

でも、その取り組みがあるから安心ではありません。

企業で取り組むことは出来ますが、ひとり一人の症状や治療に配慮することは出来ません。
つまり、体制は出来ても対応は難しいのです。

厚生労働省で難病と指定している数は358あります。
それら全てを把握して取り組む企業はありません。

なので、ここからは難病の人が企業の取り組みを活用するために、自分の難病に仕事上必要な合理的配慮を、まずは自分で理解して説明が出来るようになる必要があります。

それを、次では厚生労働省の資料元に解説します。

難病の症状の「共通性」「多様性」「個別性」について

難病の症状について自分でも覚えておきましょう。

難病には、共通の症状があります。
そして、疾患別の症状があり、最後にひとり一人における症状です。

それでは、詳しく見ていきましょう。

共通性

・体調変動
・疲れやすさ
・倦怠感
・集中力の低下等
これらが、共通して見られる症状です。

多様性

難病は8種類の疾患群に分かれていて、疾患群ごとに症状の特性が見られます。

疾患群 特徴的な症状や機能障害の例
神経・筋疾患 筋力低下/麻痺、筋持久力低下、運動協調低下(ふるえ、
千鳥足、ろれつが回らない等)、等
自己免疫疾患 関節の痛み、体力・免疫力・筋力低下、日光過敏、等
消化器系疾患 下痢、下血、腹痛、栄養吸収不足による疲れやすさ、等
血液系疾患 貧血、出血が止まりにくい、免疫力低下、等
皮膚・結合組織疾患 皮膚の腫瘍・潰瘍・水疱、容貌の変化、関節の痛み、等
視覚系疾患 視覚障害、弱視、視野欠損、色覚異常、等
内分泌系疾患 活力ややる気の低下、体温調整、等
骨・関節系疾患 動作や姿勢の制限(首が回りにくい等)、関節の痛み、等


厚生労働省抜粋

個別性

難病の種類や治療方法などによって、ひとり一人に違いがあります。

また、体調などによっても日々変化があります。
主治医に相談をして症状や特性を明確にする必要があります。

合理的配慮の明確化

「共通性」「多様性」「個別性」全てを自分で理解して説明出来るようになることで、自分の難病に一番ぴったり合っている合理的配慮を企業から受けることが出来ます。
難病への配慮

「共通性」「多様性」「個別性」この三つを明確に解りやすく伝える事が出来る必要があります。

難病の人が向いている仕事・就労中の職種と%

企業が、厚生労働省の指導により難病の理解と配慮に取り組んでいることは解りました。

そして、難病の人が合理的配慮のある環境で仕事を辞めなくても良い方法も解りました。

ここでは、さらに具体的に難病の人に向いている仕事を厚生労働所の資料を基に紹介します。

ベーチェット病

-手帳あり-

職種 就労者中の%
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師 38.9%
一般事務職 16.7%
管理職 11.1%
販売職 11.1%


-手帳無し-

職種 就労者中の%
専門・技術職 22.0%
事務職 10.0%
販売店員 10.0%

多発性硬化症

-手帳あり-

職種 就労者中の%
専門・技術職 19.4%
事務職 19.4%
PCオペレーター 13.9%
サービス職 13.0%


-手帳無し-

職種 就労者中の%
事務職 24.0%
専門・技術職 20.0%
販売職 10.0%

重症筋無力症

-手帳あり-

職種 就労者中の%
専門・技術職 26.3%
工場ライン 21.1%
事務職 15.8%
PCオペレーター 15.8%
サービス業 10.5%


-鉄塔無し-

職種 就労者中の%
一般事務職 22.9%
専門・技術職

全身性エリテマトーデス

-手帳あり-

職種 就労者中の%
専門・技術職 27.8%
一般事務職 19.4%
一般事務職以外の事務 11.1%
PCオペレーター 11.1


-手帳無し-

職種 就労者中の%
一般事務職 23.8%
その他、看護師、社会福祉士専門職

強皮症、皮膚筋炎、多発性筋炎

-手帳あり-

職種 就労者中の%
専門・技術職 44.4%
一般事務職 33.3%
生産ライン 11.1%
運送・清掃・梱包など 11.1%


-手帳無し-

職種 就労者中の%
一般事務職 18.8%
その他、様々な専門・技術職、看護師、事務職など

腫瘍性大腸炎

-手帳あり-

職種 就労者中の%
一般事務職 40.0%
専門・技術職 20.0%
人材派遣 10.0%
サービス業 10.0%
保安職 10.0%


-手帳無し-

職種 就労者中の%
一般事務職 16.9%
その他専門・技術職

クローン病

-手帳あり-

職種 就労者中の%
一般事務職 17.4%
一般事務以外の事務職 10.1%
情報処理・通信技術者、その他専門職


-手帳無し-

職種 就労者中の%
一般事務職 14.7%
その他専門・技術職

もやもや病

-手帳あり-

職種 就労者中の%
運搬・清掃・梱包 17.4%
製品製造・加工処理 10.1%
専門・技術職、事務職


-手帳無し-

職種 就労者中の%
専門・技術職 14.7%
一般事務職

パーキンソン病

職種 就労者中の%
専門・技術職 28.1%
管理職 12.5%
一般事務職 12.5%
PCオペレーター 9.4%

脊椎小脳変性症

職種 就労者中の%
専門・技術職 24.0%
調理人 20.0%
一般事務以外の事務職 12.0%
一般事務職 12.0%
生産ライン 12.0%

後縦靱帯骨仮症

職種 就労者中の%
一般事務以外の事務職 21.2%
看護師 12.1%
一般事務職 12.1%
管理職、専門・技術職、教員 12.0%

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難病の種類や経過によって、向いている仕事は変わりますが 難病の人の仕事は、周囲の理解と配慮があれば仕事を辞めて退職しなくても以上の様に問題なく出来ます。


次の章では、難病の人が利用出来る就労委支援制度について解説していきます。

難病の人の就労支援制度

厚生労働省では、難病の人が利用出来る障害者雇用促進法を進めてきましたが、この制度では障害者手帳を取得している人だけが該当して、それ以外の難病の人は含まれていません。

そこで、障害者総合支援法による就労系福祉サービスをすすめ、多くの難病のの人が活用できるように就労支援制度を薦めています。

手帳のある人:障害者雇用促進法で対象となる難病による障害者

障害者雇用促進法

対象:難病により、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け又は職業生活を営むことが著しく困難な者
難病により、各制度の障害認定基準を満たす者
・身体障害者手帳
・療育手帳等
・精神障害者保健福祉手帳
事業主の障害者雇用義務の対象
障害者雇用納付金制度の対象
事業主への多様な助成金の対象

事業主の障害者差別禁止、合理的配慮提供義務の対象

職業リハビリテーションの制度・
サービスの対象
・ハローワークの専門援助部門での職業相
談・職業紹介等
・地域障害者職業センターでの職業評価、
職業準備支援、ジョブコーチ支援、事業
主支援等
・障害者就業・生活支援センター

特定求職者雇用開発助成金(「発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース」)や
障害者雇用安定助成金(「障害者職場定着支援コース」)等の対象(358 疾患※)

手帳の有無に関係なし:障害者総合支援法による就労系福祉サービス

就労系福祉サービス
難病の人が手帳の取得に関係なく利用が出来る就労系福祉サービスです。

就労移行支援
通常の事業所等への就労に向け、職場体験、能力向上に必要な訓練、求職活
動の支援、適性に応じた職場開拓、就職後の職場定着支援等を行う。利用期
間は上限 2 年間。

就労継続支援A 型
現状では通常の事業所等に就労することが困難であるが、一定の支援があれ
ば、雇用契約に基づく就労が可能である方が対象。一般就労に向け必要な知
識及び能力向上のための訓練等支援も行う。利用期間の制限はない。

就労継続支援B 型
以前通常の事業所等で就労したが、年齢や体力面で継続困難になった方や、
雇用契約に基づく就労が困難である方などが対象。事業所が生産活動の機会
を提供し、就労に必要な知識及び能力向上のための訓練を行うが、雇用契約
は結ばない。利用期間の制限はない。

全ての難病の人が対象の障害者差別禁止や合理的配慮の提供義務

難病による、仕事を辞めたり、退職する必要はありません。

2016年の障害者雇用促進法の改正で、手帳の取得に関係なく業務上困っている難病の人に対して差別禁止及び合理的配慮の提供義務が始まりました。

-これにより変わったこと-
また、本人からの申請で仕事で活躍するために必要な支障となることに改善要求があれば配慮をする事が必要になりました。

企業は 難病という理由で不採用にしたり就労禁止にしたりすることは出来ません。

治療と仕事の両立支援

難病の人が、働く為には治療と仕事の両立が出来て始めて可能となります。

その為のガイドラインがあります。

厚生労働省が企業に向けて普及をしていますが、このような事が進められていることを、難病のある人もよく理解しておく事で難病にとってホワイトな企業を探す目安になるので、覚えておきましょう。

働く方の3人に1人が病気の治療を行いながら仕事をされています。さらに、労働人口の高齢化が進む中で、職場において、このような病気を抱えて働く方の治療と仕事の両立への対応が必要となる場面は増えることが予想されます。

その一方で、病気を理由に仕事を辞めてしまう方や、仕事を続けていても職場の理解や支援が乏しいなど治療と仕事の両立が困難な状況に直面している方も多いのが現状です。

また、職場での対応は個々の労働者の状況に応じて進めることとなりますが、支援の方法や医療機関等との連携について悩む事業場の担当者も少なくありません。

厚生労働省は、平成 28 年2月、このような働く意欲をもちながら治療と仕事を両立しようとする労働者に対して、職場において就業上の措置や治療への配慮を適切に行い、治療と仕事が両立できるようにするための具体的な支援方法等をまとめた「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を作成し、普及促進を図っているところです。

厚生労働省が進めているガイドラインには、2種類あります。
1.治療と仕事の両立支援のため企業が取り組むべき環境整備
2.個別の両立支援の進め方

これは、難病の人を受け入れる企業側の挙行くと、具体的な進め方について指導しています。

ガイドライン1:治療と仕事の両立支援のため企業が取り組むべき環境整備

難病の人の就労ガイドライン1
ガイドライン1は、難病の人をうけれ入るための企業が行う取り組みについてです。
柱としては、3本あります。

  1. 研修等による両立支援に関する意識啓発
  2. 相談窓口の明確化等
  3. 休暇・勤務制度の整備

研修等による両立支援に関する意識啓発

難病の理解と配慮の社員教育です。

管理者や背錦紗だけで無く、上司同僚全ての社員が対象になります。

相談窓口の明確化等

通常、人事の中で窓口を設けたり、保健師、産業医を絡めてどこに相談をするのかを明確にします。

また、社内では話しにくいこともあるので、社外に利用出来る窓口を作る場合もありますが、相談の根本的な解決にはならないでことがあります。。

休暇・勤務制度の整備

これには、『休暇制度』と『勤務制度』があります。
休暇制度は、シックリーブなどになります。
病気休暇等とも言われます。

多くは、正社員では利用が出来るケースがありますが、契約社員では利用が出来ないケースもありました。
これを有給休暇として利用出来るように促しています。

勤務制度は、時短勤務やテレワーク、フレックス等になります。

難病の人が、体調や治療に合わせて利用が出来るようにするための制度です。

ガイドライン2:治療と職業生活の両立支援

難病の人の就労ガイドライン2
事らのガイドラインは、1のガイドラインを利用する為の具体的な内容です。

こちらも3つあります。

  1. 労働者が事業者へ申出
  2. 事業者が産業医などの意見を聴取
  3. 事業者が就業上の措置等を決定・実施

労働者が事業者へ申出

難病の人が、必要な治療と配慮について、主治医などに聴きながら企業へ申し出ます。

具体的には、主治医に意見書を作成してもらい企業に提出するようになります。

事業者が産業医などの意見を聴取

企業側は、難病の人から提出された意見書を基に、産業医や保健師に就業するうえの具体案を相談します。

事業者が就業上の措置等を決定・実施

企業側は、難病の人から提出された意見書と産業医などの意見から、就業可能と仕事と治療への配慮の具体的内容を決定します。

そこで、決定された内容は人事と配属先で共有し実施されます。

厚生労働省のガイドラインには、「両立支援プラン」の作成について書かれていて、文書化することで明確にすることが望ましいとなっています。

まとめ

如何でしたでしょうか。

難病の人が仕事を辞めて退職しようか悩んだときに、一度読んで頂きたく解説をしてきました。
最後にまとめます。

-仕事を辞めるか悩んだときにする事-

  • 仕事を辞めて退職するか悩んでいるのなら退職する
  • 次の仕事探しは、手帳のある人も無い人も就労系福祉サービスの利用
  • 新しい就労は、難病の人の治療と仕事の両立支援のガイドラインが実施されている企業

これであれば、今後は難病の人は仕事を辞める悩みもなく、安心安定した治療と仕事を続けることが出来ます。

特に、この中で大事なことは仕事探しです。
仕事探しで重要なのは、難病の人が利用出来る障害者総合支援法にある就労系福祉サービスの利用が重要になります。

それは、就労移行支援を主に指しますが、ガイドライン2に望ましいと書かされている「両立支援プラン」が就労移行支援では、ひとり一人に合わせて作成されるからです。

また、就労移行支援では企業向けの見学会や、企業へ難病の人の受け入れのサポートもします。

なので、企業にひとり一人に違う症状や治療方法に一番合っている方法を伝える事が出来るのです。

これは、『治療と仕事の両立支援のガイドライン1と2』が既に出来ている企業にあたるので、わざわざ探す必要がありません。

詳しくは、難病の人の働き方の就労移行支援の活用について書いた当メディアの記事を参考にして下さい。
【難病の人の働き方】仕事と治療の両立は就労移行支援の活用で出来る

これで、「【難病の人の退職】仕事を辞めるか悩んだときの答え」は終わりです。
最後まで、呼んでいただきありがとうございました。

当メディアは、難病の人が治療と仕事の両立が出来る事をこころより応援します。