この記事は、知的障害特別支援学校に通う在学生と卒業性と、保護責任者の人に向けて仕事の実習について書いてある記事です。
私は、人事で採用を担当しています。
その人事の仕事の中に、毎年行われている障害者の実習があります。
これは、障害がある社会人対象のトライアルやインターンシップとは少し違い、特別支援学校の生徒さんが対象です。
毎年、学校の先生の要望を聞いて、それに近い実習が出来るようにだとか、会社の取り組みとして貢献できることは何かなど、色々考えて取り組んでいます。
そして、毎回実習の後に反省をし、次回開催の為に活かすようにしていますが、どうしても会社の目線になってしまっている自分がいます。
そこで、ここではもう1度よく考えて、特別支援学校の生徒さんファーストで、実習についてよく考えてみたいと思います。
知的障害があるお子さんを持っている保護責任者の方は、企業の採用現場の本音として受け止めて頂ければと思います。
ここでわかること
- 実習が必要な理由
- 社会に出る選択肢
わしも、一緒に見ていくぞい
進学と就職のデータ
少しふるいデータですが、文部科学賞のデータによると、全日制と定時制の高等学校を卒業したあとの進路で進学と教育訓練期間等に進んだ人は全体の76.9%でした。
データ出典:文部科学省「学校基本調査(平成26年度)」
そして知的障害特別支援学校の高等部「本課」を卒業したあとの進路で進学と教育訓練期間等に進んだ人は全体の2.0%でした。
特に進学者は0.4%です。全日制と定時制の高等学校を卒業した人と比べると134.5倍もちかがいます。
データ出典:文部科学省「学校基本調査(平成26年度)」
進学に注視して考えると、知的障害者を受け入れれる高等部以上の教育期間が全国に9校と異常に少ないことも原因なのですが、今回の記事とは話がそれるため、今回は置いておきます。
このように、データから解るように知的障害のある人は、知的障害特別支援学校の高等部を卒業すると社会に出て就職する事を余儀なくされています。
本来、知的障害特別支援学校に行っている人ほど時間をかけて社会に仕事に適合していく必要があると思いますが、おかしな話だと思います。
知的障害特別支援学校で実習が必要な理由
次に、知的障害特別支援学校の高等部を卒業する人になぜ実習が必要かと言うことについてです。
私の場合、最初は企業としてCSRの取り組みとして関わりました。
関わった当時は、正直言って必要性まで考えていませんでした。
企業の社会的責任(きぎょうのしゃかいてきせきにん、英: corporate social responsibility、略称:CSR)とは、企業が倫理的観点から事業活動を通じて、自主的(ボランタリー)に社会に貢献する責任のこと
出典:wikipedia
ですが、実際に実習を行い、毎年反省を重ねるうちに色々と考えさせられました。
- 社会に出る早さ
- 選択肢が少ない
- 能力の正当な評価
まだまだ考えさせられることはありますが、この3つについては毎年の知的障害者の実習を通して課題だと思っています。
課題については、次で書いていきます。
課題1:社会に出る早さについて
社会に出る為には、誰でも十分な情報が必要だと思っています。
仕事の責任??
社会人???
このような情報しかない状態の人でも、知的障害特別支援学校の高等部を卒業した人たちは、否が応(いやがおう)でも、次のステージの社会に出るところに進まなくてはなりません。
この人達こそ、もう少し時間をかけて社会の仕組みを知り、仕事を選び、社会人としてゆっくり慣れていくことが必要だと思うのですが、その人達が一般で大学に進み、社会人のルールやアルバイトを通して仕事への責任を覚えていく人達より先に社会に出されていきます。
それなので、学生でいる間に学校の中だけで無く、少しでも会社の仕組みや、通勤やオフィスの雰囲気、仕事をする感じを実習をとおして感じて欲しいと思います。
ちょっと、もう少し時間をかけられる仕組みが欲しいと思います。
確かに放り出される感じじゃな
選択肢が少ない
多くの企業で知的障害者が関わっている仕事は、軽作業と呼ばれている仕事が多いです。
軽作業が悪いとは思いません。むしろしっかり考えられた企業では、負担がないように配慮がされているので、向いている仕事だと思います。
ですが、その考えられた配慮のある軽作業で雇用する企業自体が少ないです。
中小零細企業では、そこまで考えるのが難しく、大手企業だけでは受け皿になれないのかも知れませんが、知的障害特別支援学校の高等部を卒業した31.1%の人が就職出来て、社会福祉施設等に入所・通所している人が64.2%で、進学に至っては0.4%です。
このデータから見ると選択肢が少なすぎます。せめて実習を通して大くの企業が知的障害者について理解をしめして欲しいと思います。
実習を増やす事と軽作業などの雇用機会を増やすことが企業の課題じゃな
能力の正当な評価
これは、雇用する企業、保護責任者に言いたいです。
知的障害者は、色々なことが出来ます。
多少、配慮が必要な事もありますが、多くのことが出来ます。
また、マニュアルがあればと一方的なマニュアルを作成している企業がありますが、間違いです。
1人1人、出来る事も出来ないことも違うので、1つのマニュアルで誰もが対応できません。
かえって難しくなる場合もあります。
確かに!あれば良いという物ではないな
また、保護責任者の方は過小評価も過大評価もしないで欲しいです。
「やれば、もっと出来る」とか「こんな難しいことは出来ない」など、決めつけないでください。
自分で出来る事をやり、仕事の場合は担当者と相談して決めて欲しいです。
その為に、自分で何が出来るか学校では無く企業での実習が必要になります。
前にも書きましたが、知的障害特別支援学校の高等部を卒業すると同時に社会人になる人が95.3%います。そのうち64.2%の人は、社会福祉施設に入所するか就労継続支援A型、B型に通所しています。
就労継続支援A型、B型に通所する以外の多くの人たちが、社会で適合していくためには、時間が少なく、それを補う場面も足りません。
それなので、在学中の実習はとても大切なことになります。
知的障害者は、向き不向き、障害的、性格的、育った環境で出来る事が変わります。
高等部が始まった時点で、学校の担当している先生は進学や就職について1人1人の将来について考えています。
ですが、今の段階ですぐに進学の機会が増えることはありません。
それであれば、高等部3年間を通した計画的な実習がたくさん出来るように、私は協力をしていきたいと思います。
実際の仕事の選び方と種類
ここでは、知的障害特別支援学校の高等部を卒業予定している人や、卒業した人が仕事を選ぶときについて、種類と選び方について解説していきます。
選び方
まず、選び方として知的障害者の誰にも言えることですが、これが大事です。
「仕事があるをよしとしない」
「仕事があるだけ良いよ」とか、「無いよりましだね」はしてはダメです。
我慢しろというわけではないです。そう言う気持ちや言葉が出るということは、何かしろ不満があるはずです。
不満があるままだと、いつか体に影響してきます。体調を崩したら、回復するまでに長く掛かります。気をつけましょう。
でも勘違いしないでください。
わがまま放題、自分勝手が通用するわけではありません。
給与や仕事内容やコミュニケーションなど、会社のルールや規定から外れていることについて我慢しては行けないと言うことです。
簡単な対策としては、中小零細企業への就職は避けるべきです。全てがそうではありませんが、人事や法務などの専門家が在籍していることが少ないところではなく、コンプライアンスがしっかりしている大きめの企業で仕事を探すようにしましょう。
企業コンプライアンス(きぎょうコンプライアンス、英語: regulatory compliance)とは、コーポレートガバナンスの基本原理の一つで、一般に企業の「法令遵守」または「倫理法令遵守」を意味する
出典;wikipedia
仕事の種類
それでは、実際に雇用が決まった例をいくつか挙げていきます。
- ファストファッションの在庫管理
- 飲食店バックヤード
- 建築の職人
- 企業の特例子会社
- 企業内メール室
- 企業内フードサービス
まだまだ多くはないが、すこしづつ雇用の機会は増えてきてはいるようじゃ
実習は企業だけではない!他の選択肢、失敗ができるところがある
ここまで、知的障害特別支援学校の卒業後のデータや実習と、その大切さなどについて解説してきましたが、本音はやはり知的障害者の社会の出ることの早さが、仕事を選ぶときの失敗に繋がり、それが仕事が長く続かずに退職なったり、精神的に傷つく原因につながっていると思います。
もっと、学校や学校のに準ずる所で社会に出る前に、色々仕事や社会人として経験ができて、失敗も出来るところが必要です。
そこで、質問です。
こんな不安がないですか
- 仕事への不安
- 体力的な不安
- どのような仕事があるのか
- もう少し考える時間が欲しい
- 自信を付けたい
- 仕事で得意を見つけたい
- 苦手な事の対処方法を知りたい
- 仕事で使えるパソコンスキルが知りたい
- ビジネスマナースキルって何?
このような不安がある人で、仕事を見つけなくてはならない人は、就労支援を使う事を進めます。
いきなり、特例子会社や軽作業につかなくても、いっぱい成功も失敗も経験してからで良いです。
就労継続支援ならA型もB型も期間に関係なく利用が続けられます。
メリットメリットは働く事を通して学ぶことも出来ます。
デメリットデメリットは、賃金が安いです。
また、働く前にまだまだ不安があったり、もっと仕事について基本を学びたい人は、就労移行支援がおすすめです。
最長2年利用できます。(必要性が認められた場合に限り、最大1年間の更新可能)
こちらに、就労移行支援についてまとめた記事があります。
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