障害者手帳のメリットとデメリット

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私は、下肢に障害があり4級の手帳を取得しています。


障害者になった時、手帳の存在を医師から教えて貰いました。
その時は、取得するつもりはありませんでした。

障害者と言う響きが特別な感じがして、それが劣るように聞こえ、認めたくない。
自分は普通で他の人と変わりは無い、かわいそうだと思われたくない。

と思いたかったのだと思います。

これは、私だけでは無いと思います。多くの方が該当するのでは無いでしょうか。

では、今もそうかと言うと、そうでもありません。
今思うと、当時自分は特別では無いと考えていた自分こそ、差別をする人間だったのでは無いかと思います。

当事者の私が言うのも何ですが、実際、今は障害なんて気になりません。

障害があること自体は不便なこともありますが、障害者だということは気になりません。
人それぞれの個性であり、そもそもどーでも良いです。

でもせっかく一般の人では持てない手帳を持ったのですから使い倒しましょう。
もったいないです。

そこで、今回は障害者手帳がどのように利用が出来、メリットとデメリットは何があるのか解説します。
せっかくなので、有効に利用しましょう。

障害者手帳の種類

まず最初に、知っている人もいると思いますが、手帳そのものをおさらいします。

障害者手帳とは、別けると3種類ありますが、その総称を指します。

3種類とは、

  • 身体障害者手帳
  • 療育手帳
  • 精神障害者保健福祉手帳

になります。

身体障害者手帳 療育手帳 精神障害者保険福祉手帳
根拠 身体障害者福祉法
(昭和24年法律第283号)
療育手帳について
(昭和48年厚生事務次官通知)
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律
(昭和25年法律第123号)
交付主体 ・都道府県知事
・指定都市の市長
・中核市の市長
・都道府県知事
・指定都市の市長
・都道府県知事
・指定都市の市長
障害分類 ・視覚障害
・聴覚・平衡機能障害
・音声・言語・そしゃく障害
・肢体不自由(上肢不自由、下肢不自由、体幹機能障害、脳原生運動機能障害)
・心臓機能障害
・じん臓機能障害
・呼吸器機能障害
・ぼうこう・直腸機能障害
・小腸機能障害
・HIV免疫機能障害
・肝臓機能障害
知的障害 ・統合失調症
・気分(感情)障害
・非定型精神病
・てんかん
・中毒精神病
・器質性精神障害(高次脳機能障害含む)
・発達障害
・その他の精神疾患(うつ病など)
所得者数 5,087,275人
(平成30年度福祉行政報告例)
1,115,962人
(平成30年度福祉行政報告例)
1,062,700人
(平成30年度福祉行政報告例)

*厚生労働省より

障害者手帳の取得で受けられるメリット

障害者手帳を取得して受けられるメリットについて解説します。

メリットは公私色々ありますが、ここでは公の制度を元にします。

そのメリットは、この4つになります。

  • 税金の控除
  • 公共料金の割引
  • 助成金制度
  • 就職・転職

その他にも、企業や施設独自で設けてある割引やサポートがあるので、何か利用する時はあらかじめに、ホームページなどを確認するとお得です。
例えば、各携帯電話会社などでも適用されます。

それでは、公の制度についてメリットを解説していきます。

税金の控除

障害者手帳を取得していると受けられるメリットとして税金の控除があります。

本人が受けられる控除と、扶養する家族が受けられる控除がありますが、ここでは本人の受けられる控除をメリットとして解説します。

  • 所得税の障害者控除
  • 相続税の障害者控除
  • 心身障害者扶養共済制度に基づく給付金の非課税
  • 特定障害者に対する贈与税の非課税
  • 少額貯蓄の利子等の非課税
特例の区分 障害者 特別障害者
所得税の障害者控除 27万円を控除 40万円を控除
相続税の障害者控除 障害者が85歳に達するまでの年数1年につき10万円を控除 障害者が85歳に達するまでの年数1年につき20万円を控除
贈与税の非課税 精神に障害がある方については、信託受益権の価額のうち3,000万円まで→非課税 信託受益権の価額のうち6,000万円まで→非課税
心身障害者扶養共済制度に基づく給付金の非課税 給付金→非課税(所得税)
相続や贈与による給付金を受ける権利の取得→非課税(相続税・贈与税)
少額貯蓄の利子等の非課税 350万円までの預貯金等の利子等→非課税(所得税)

『特別障害者』
障害者のうち、次の特に重度の障害のある方

●身体障害者手帳に身体上の障害の程度が一級又は二級と記載されている方
●精神障害者保健福祉手帳に障害等級が一級と記載されている方
●重度の知的障害者と判定された方
●いつも病床にいて、複雑な介護を受けなければならない方 など

公共料金の割引

公共料金で割引・免除が該当するのは、以下になります。

  • 鉄道(JR・私鉄)
  • バス
  • 航空旅客
  • フェリー
  • タクシー
  • 有料道路
  • NHK受信料
  • 上下水道基本料金
  • 携帯電話基本使用料
  • 番号案内(104)
  • 文化施設入場料金免除

手帳の種類や等級によって、該当する範囲が変わる場合があります。
そこを詳しく解説します。

鉄道料金の割引

JR
-対象の手帳-
身体・療育

種別 割引乗車券 適用範囲 割引率
第1種 普通乗車券 単独の場合
(片道100kmを超える区間)
5割引
介護者とともに乗車する場合
(距離制限なし)
本人及び介護者
とも5割引
定期券 12歳以上の障害者が介護者と
ともに乗車する場合
本人及び介護者
ともに5割引
12歳未満の障害児が介護者と
ともに乗車する場合
介護者のみ
5割引
回数券・急行券
(特急券を除く)
介護者とともに乗車する場合 本人及び介護者
ともに5割引
第2種 普通乗車券 単独の場合
(片道100kmを超える区間)
5割引
定期券 12歳未満の障害児が介護者と
ともに乗車する場合
介護者のみ
5割引


私鉄
-対象の手帳-
身体・療育

私鉄各社の割引は、JR運賃割引制度とほぼ同じですが、乗車する適用範囲の縛りが無い私鉄もあるので、利用する鉄道会社により確認をして下さい。
例:横浜市営地下鉄、シーサイドラインは距離制限はありません。

バス料金の割引

交通会社により割引の条件が違う場合があります。
ご利用の路線の交通会社にご確認下さい。

ここでは、例として神奈川県横浜市になります。
バス
-対象の手帳-
身体・療育

12歳未満と12歳以上と割引が変わります。
・12歳未満は子供料金の半額
・12歳以上は、子供料金

割引率
・普通運賃は5割
・定期は3割

適用には、割引証が必要になります。
各自治体の障害福祉課で確認してください。

航空旅客料金の割引

航空旅客
-対象の手帳-
身体・療育・精神

・12歳以上の手帳を取得している本人と介護者1名

*適応外の航空旅客会社もあるので、要確認が必要です。

フェリー料金の割引

障害者本人と介護者1名の料金が5割です。

*適応外の会社もあるので、要確認が必要です。

タクシー料金の割引

タクシー
-対象の手帳-
身体・療育・精神
料金を支払う際手帳を見せることで10%の割引があります。

適用されない事業者もありますので、乗車時に確認をして下さい。

有料道路通行料金の割引

有料道路
-対象の手帳-
身体・療育

基本、割引の申請は一人1台ですが、家族で他の障害がある人と共有する場合は申請が認められます。

また、本人が車両を持っていない場合は、介護している人が所有する車両で申請することも認められます。

割引率は、全て半額です。

ETCでも、登録が出来ますが利用時は手帳を携帯している必要があります。

NHK受信料の免除

NHK受信料
-対象の手帳-
身体・療育・精神

半額免除 全額免除
身体障害者 視覚・聴覚障害者
重度の身体障害者(1・2級)
世帯構成全員が市民税非課税
知的障害者 重度の知的障害者(A1・A2)
精神障害者 重度の精神障害者(1級)

上下水道基本料金の減免

上下水道基本料金
-対象の手帳-
身体・療育・精神

対象となる障害者 対象となる要件 割引額(税抜き)
身体障害者 1級、2級 ・市民税所得割非課
税世帯であること
・登録されている使
用者が障害者本人の
同世帯員であること
・生活保護を受給し
ていないこと
水道基本料金(月額
680円)及び下水道
料金(月額上限65
0円)が減免
知的障害者 A1、A2
精神障害者 1級、2級
重複障害者 身体障害者手帳3級
で療育手帳B1


*詳しくは、各自治体で確認して下さい。

携帯電話基本料金の割引

携帯電話基本料金
-対象の手帳-
身体・療育・精神
申込時、または追加で申請が可能です。

  • docomo: ハーティ割引
  • au:スマイルハート割引
  • softbank:ハートフレンド割引

104番料金の免除

電話案内料金
-対象の手帳-
身体・療育・精神

手帳の種類 範囲 障害
身体障害者手帳 視覚 1-6級
身体障害者手帳 上肢・体幹・乳幼児期以前の非進行性の脳病変による運動機能障害 1-2級
療育手帳 A1-B2
精神障害者保健福祉手帳 1-3級

文化施設入場料金免除

入場料金
-対象の手帳-
身体・療育・精神

県立・市立等の施設の入場料は、障害者手帳を呈示することで無料で利用が出来ます。

助成金制度

障害者手帳を取得していると受けられる助成金制度は、『医療費』『補装具』『リフォーム費用』などがありますが、どれも障害を軽くすることが目的です。

医療費

国の公費負担医療制度のひとつ、自立支援医療の「更生医療」は、医療費は9割助成されます。

その他に、各自治体ごとの助成もあります。
助成内容は、自体ごとに違いがあるので、お住まいの自治体での確認をお願い致します。

補装具

義肢、義足、車椅子、補聴器などの補装具購入やメンテナンス費用の助成を受けることが出来ます。
自己負担は1割で、9割が助成されます。

リフォーム費用

障害に合わせて必用な住宅環境をリフォームする際に費用の助成を受けることが出来ます。
障害別、投球によって助成額が異なるので要確認が必用です。

就職・転職

障害者手帳があると、障害への合理的配慮有る就職や転職ができます。

-合理的配慮の内容-

  • 職種・仕事内容
  • 就業時間帯
  • 通勤時間帯
  • 通院

職種・仕事内容

障害によって、難しいと想定される業務を軽減、または行わないようにします。
障害や個人によって特性が違うので、ひとり一人に合わせた配慮を実施します。

就業時間帯

障害によっては、体力的にフルタイムが大変であったり、仕事に慣れるまで短時間労働の配慮をします。

通勤時間帯

ラッシュ時を避けた時差出勤、または在宅ワークを障害特性に合わせて設定します。

通院

定期通院をしている人が、仕事を気にしないで毎週、毎月通院を行えるように制度を作り配慮をします。

その他

障害者手帳があると、就職や転職の専門のエージェントを利用出来ます。

障害者は、このエージェントを利用する事で、自分の希望する職種や給料などの条件に合う仕事を無料で紹介してもらえます。

また、キャリアやスキルなどを活かしながら合理的配慮のある仕事を探す事も可能です。

専門のエージェントならではこそ可能なサービスで、手帳を取得して受けられる最大のメリットです。

詳細はこちらの記事を参考にして下さい。
7つの障害者の転職エージェントとサイトを比較評価したおすすめランキング

障害者手帳の取得で受けるデメリット

障害者手帳を持つことで、デメリットはありません。
取得しても、利用しなければ周りの人には解りません。

でも、私のように身体障害の場合は手帳を利用しなくても、廻りからは障害者だと解ります。
それであれば、取得だけはしておくと良いでしょう。

また、持っているのも嫌であれば返納もできます。

私は、下肢に障害があるので自分で決めて免許を取得していませんが、障害者手帳は身分証明書にも利用が出来るので便利ですよ。

手帳の申請方法

障害者手帳の申請方法について解説します。

身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳それぞれ違うので、一つずつ解説していきます。

身体障害者手帳

-申請場所-
住んでいる自治体の福祉課等の窓口

-必用な種類-

  1. 申請書
  2. 医師の診断書・意見書
  3. 身元確認が出来る物(パスポート・免許証など)
  4. 印鑑
  5. 写真

相談も出来るので、何か解らない事や質問は事前に行う事が出来ます。

療育手帳

-申請場所-
児童相談所、知的障害者更正相談所

-必要な書類-

  1. 申請書
  2. 写真
  3. 印鑑

療育手帳は、他の手帳と違い法で定められてはいません。

各自治体の制度で手帳の呼び方も違い、分け方や支援内容も変わります。

相談も出来るので、何か解らない事や質問は事前に行う事が出来ます。

精神障害者保健福祉手帳

精神障害者保健福祉手帳は、初診日から6ヶ月以上警戒していないと取得できません。

-申請場所-
住んでいる自治体の福祉課等の窓口

-必用な書類-

  1. 申請書
  2. 診断書・意見書
  3. 写真
  4. 印鑑
  5. 身元確認が出来る物(パスポート、免許証など)

相談も出来るので、何か解らない事や質問は事前に行う事が出来ます。

手帳の更新手続きについて

更新手続きについて、手帳別に解説します。

身体障害者手帳

将来、障害の変化があるとされる場合、1年~5年以内に期日を設け、再度審査をする事があります。
これを、再認定と言います。

障害の変化が予想されない場合は必要ありません。

-必用な書類-

  • 再交付申請書
  • 診断書・意見書
  • 写真
  • 身体障害者手帳
  • 印鑑
  • 身分証明書(パスポートや免許証など)

療育手帳

療育手帳は、年齢に応じて2年ー10年に1度更新が必用です。

更新日は、手帳に記載されているので、期限日までに更新手続きをして下さい。
手続きは3ヶ月前から申請が出来ます。

各自治体により手続きが違う場合があるので、お住まいの自治体の福祉課の御相談下さい。

-必用な書類-

  1. 更新申請書
  2. 療育手帳
  3. 写真

精神障害者保健福祉手帳

精神障害者保健福祉手帳の有効期間は、交付日から2年間です。

更新は、有効期限日の3ヶ月前から申請が出来ます。

-必用な書類-

  1. 更新申請書
  2. 診断書
  3. 写真
  4. 精神障害者保健福祉手帳
  5. 印鑑
  6. 身分証明書(パスポートや免許証など)

障害者手帳の再交付

身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳で更新を忘れたり、紛失し他場合、再交付をする事が出来ます。
基本、更新手続きと同じ書類が必要になりますが、必ず再交付を受ける自治体で確認をして下さい。

引っ越しをして、お住まいの自治体が変わる場合も再交付の申請が必用です。

まとめ

如何でしたでしょうか。

障害者手帳の利用出来る場所や活用方法と取得から更新手続きの仕方を交え、メリットとでメリットを解説しました。

今回の解説の中で、もっとも有意義な情報は、就職と転職についてです。

障害者は、仕事の種類や働ける場所に制限が付きやすいです。

制限がある中で、自分の希望の給料や、やりたい仕事を探すのは、とても大変なことです。

ですが、障害者手帳を取得していれば、専門のエージェントから自分の希望に叶う仕事を無料で提案してもらえます。

これは、障害者にとってとても大きな事です。

現在、手帳の取得を考えている人は、是非手帳の恩恵を試してみて下さい。

また、手帳を取得していても利用していなかった人は、是非活用してみましょう。

-参考記事-
7つの障害者の転職エージェントとサイトを比較評価したおすすめランキング